福岡県内では5日、新型コロナウイルスの新規感染者が718人に上り、過去最多だった前日に続き2日連続で700人を超えた。飲食店への営業時間短縮要請など県の対策は今のところ効果が見えず、「第5波」の勢いが収まる兆しは感じられない。
福岡県はこの日、緊急事態宣言の適用を国に要請した。感染急拡大で医療逼迫(ひっぱく)を未然に防ぐ狙いがあるが、県内ではすでに宣言並みの対策が取られ、効果は不透明だ。実質的な対策強化よりも県民向けのメッセージの意味合いが強い。
服部誠太郎知事は5日の記者会見で「想定を超える、今まで経験したことのないような感染の急拡大が起こっている」と語り、感染力の強いデルタ株の影響で、第4波より約2倍の早さで感染が拡大していることに危機感をにじませた。
前日には政府でコロナ対策を担う西村康稔経済再生相と電話で協議し、「情報交換を密に行い、連携して感染を封じ込めていく」との方針で一致。県は7月28日に発動した県独自の「福岡コロナ警報」を「特別警報」に引き上げ、新たに県有施設を6日から順次閉館することを決めた。
だが、2日から県内への適用が始まった「まん延防止等重点措置」で、福岡市を含む福岡地域や北九州市、久留米市の飲食店に対する酒の提供停止や午後8時までの時短営業など強い要請は実施済み。重点措置の対象地域拡大も混乱回避のために見送ると、特別警報に伴って新たに打ち出せる対策はほぼなかった。
服部氏も会見で「緊急事態宣言の要請を一つのメッセージとして県民に受け止めて頂きたい。もう一段緊張感を持って感染に向き合って頂きたい」と語り、感染状況への危機感を強めるよう呼びかけた。
県内の新規感染者は4日までの3日間平均で540人、病床使用率が33・6%で、県は現状のまま推移すると病床使用率が9日には「ステージ4(感染爆発)」の基準の50%を超えると推計する。重症病床の使用率は5・4%にとどまるが、中等症患者が重症化すれば上昇する可能性がある。(神野勇人、藤山圭)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル